ギュスターヴ・クールベは、ドイツ国境に近いフランスの小村オルナンで生まれました。 法律を学ぶためにパリに出たものの、幼少のころから絵ばかり描いていた彼は、ルーヴル美術館の過去の名画を模写、研究し、伝統的な表現技法を身につけました。
クールベは「目に見えるもののみを描く」ことを信条とし、1844年の初入選いらい、つぎつぎと意欲的な作品をサロンに出品しました。 当時のサロンは過去の歴史、神話を主題にした伝統的な「歴史画」、日常生活をテーマにした「風俗画」で占められていました。 クールベは、労働する人々をテーマとした「石割人夫」(第二次世界大戦中焼失)、故郷のオルナンで行われた村人の葬式のようすを描いた「オルナンの埋葬」(オルセー美術館蔵)、 複雑な寓意を秘めた「画家のアトリエ」(オルセー美術館蔵)など、当時のサロンの伝統からはずれた作品を出品し、多くの非難を浴びました。 しかし、このクールベの写実主義は、印象派へとつながる大きな橋渡しとなったのです。
クールベは革新的な作品を描くいっぽうで、山の自然、動物、海景も多く描いています。この「秋の海」は、北フランスのノルマンディの海岸で描かれた作品です。
天候に翻弄される海のようすを、クールベの眼は的確にとらえています。
(出典 大原美術館ホームページ)
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