ゴーガンとの諍(いさか)いをきっかけとした1888年12月の最初の発作から半年、ゴッホはアルルになおも留まっていたが、1889年5月にサン=レミの精神療養院に移る。本作品はこれまで、サン=レミに移る以前のアルル時代最後の時期の作品とされてきたが、サン=レミ療養院の庭の隅を描いたものとする修正意見が1985年のゴッホ展(国立西洋美術館)で提出された。
ゴッホの作風は、ゴーガンと離れたことで、彼の影響下で生まれた平面的な様式から、ゴッホ本来の粗い筆致に次第に戻っていく。しかもその後のサン=レミ時代にはっきりと現れてくる「うねるような」筆致を並置する彼独特の技法もすでにここに窺うことができるのである。
(出典 国立西洋美術館ホームページ)
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