フランス北西部、英仏海峡と大西洋に面したブルターニュ地方は、フランス国内でも特異な文化を保ちつづけ、素朴な生活様式を残していた。1886年にそのブルターニュのポンタヴェンを訪れて感銘を受けたゴーガンは、以後1890年までしばしばこの地に滞在し、起伏に富む風景や素朴な風俗を題材とし、自己の様式を探って行く。
本作品は、ブルターニュ滞在時代前半の作例で、印象主義からゴーガン独自の平面的様式への過渡的段階を示している。色彩は抑え気味で、タッチは印象派風で短いが、他面、個々の対象の形態は輪郭線に包まれた大きな色面として把握されており、ブルターニュ時代後半の様式をはっきりと予告している。1888年秋、アルルのゴッホのもとへ旅立つ少し前に描かれたものと思われる。
(出典 国立西洋美術館ホームページ)
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