本作品には、しばしば病に苦しみ、また親しい友に先立たれた晩年のドラクロワの悲劇的な感情が、作品本来の深い宗教性と一つに溶け合っており、彼が尊敬していたレンブラント芸術の内面性に通じるものをもっている。また事実、ルネ・ユイグの指摘するように、地上から地下に通じる階段のモティーフは、書斎の学者を描いたレンブラントの何点かの作品に見られるものであり、それにより画面にはS字型の、この主題にふさわしい動きが生まれている。
ボードレールは1859年のサロン評の中でこの作品を讃えて「この《墓に運ばれるキリスト(原文ではキリストの埋葬)》以上にこの主題に主要な荘厳さをよりよく表現した作品が、他にもあるなら教えてもらいたい。」と述べている。
(出典 国立西洋美術館ホームページ)
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