ピサロは、温厚な性格と、他の画家たちより年長であることから、印象派グループのまとめ役として重要な役割を果たした。この作品に描かれているのは1872年から彼が住んだポントワーズの風景である。前景から左手奥に向かう道や土手のカーヴ、ゆるやかな弧を描く丘陵の線に対し、樹々と電柱の垂直線が、単純ではあるが引き締まった構図を作り出している。印象派の風景画に特徴的な光と影の戯れより、ここでは、薄日の差す冬枯れの野の侘しげな情趣が画面を支配している。彼の作品には、他の印象派の画家たちにはない構築的な造形と堅牢なマティエールが見られるが、それは本作品にも示されている。
(出典 デジタルギャラリー)
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