1892年、コッテは、はじめてフランス北西部のブルターニュ地方をおとずれました。ブルターニュは、大西洋に面した半島です。 当時は、農村や漁村がまばらに見られる素朴な風景がひろがっていました。彼は、この地が気に入り、ここで生活する人々のようすを暗い色調で写実的に描くようになりました。
嵐のなかの漁師たち、聖霊祭に参列する敬虔な女性や子供たち。その作品には、貧しくても信仰をささえに暮らす人々への共感がこめられているかのようです。
この「老馬」も、ブルターニュ地方で描かれました。海辺のやせた土地で、やせこけた馬が草をさがし、首をのばしています。 この老いた馬の姿に、人生のたそがれにさしかかった人間の悲哀を重ねあわせることもできるのではないでしょうか。
(出典 大原美術館ホームページ)
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