これまで多くの展覧会に出品され、またルノワール関係の文献において必ず言及される、ルノワール初期の代表作である。ルーヴル美術館所蔵のドラクロワの名品《アルジェの女たち》(1834年)にヒントを得て描かれたもので、構図は縦長になっているが、登場人物、場面の雰囲気、アラブ風の多彩な装飾など、ドラクロワの作品のあとをはっきり留めている。当時ルノワールはドラクロワの作品を模写しており、このロマン派の巨匠から、その鮮やかな色彩効果と劇的表現を学んだ。この作品においでもドラクロワ風の暖かい色彩が、豊かな金髪や赤を主調とする絨毯、装飾品、衣裳などにはっきりと窺われる。これはルノワールが31歳の時の作品であるが、この頃以降ルノワールは、印象主義的傾向をはっきりと示し、一層明るい色彩表現に向かうようになる。 (出典 国立西洋美術館ホームページ)
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