1864年の夏から秋にかけてモネは、ブーダン、ヨンキント、バジールらと共にノルマンディー地方のオンフルールで制作した。現存する数少ない初期作品の一つであるこの《並木道》は、その際に、オンフルールとトルーヴィルとを結ぶ街道筋にあるサン=シメオン農場の付近を描いたものである。画面左手奥には、農場の建物が見える。暗く沈んだ茶色、緑、青などで賦彩され、落ち着いた雰囲気をもつ画面には、17世紀オランダ風景画や、バルビゾン派の画家たちから受けた影響が看取される。更に、木立の黒々としたシルエット、道の上に戯れる光の筆触の粘っこさなどには、クールベやディアズと同質のマティエールを見出すことができよう。
(出典 国立西洋美術館ホームページ)
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