モーリス・ドニの絵画理論は、キュビスム、フォーヴィスム、抽象絵画にも影響を与えた。1890年に発表した『新伝統主義の定義』という論文で、「絵画が、軍馬や裸婦や何らかの逸話である以前に、本質的に、ある順序で集められた色彩で覆われた平坦な表面であることを、思い起こすべきである」という有名な言葉を残している。この絵画における平面性の追求はポンタヴェンで共に過ごしたゴーガンの綜合主義やセリジュエの抽象画からの影響がある一方で、ドニもその平面性を装飾性へと発展させていった。
カテリーナ(1347年~1380年)は短い33年の生涯で睡眠と食事を削る厳しい自己鍛錬の行を行い、病人や貧者を助けることに生涯をささげた聖女である。手前の地味な色合いで描かれた祈りを捧げるカテリーナとピンク系でまとめられた街の明るい色合いの対比に、祈りのもたらす幸せが感じられる。
(出典 国立西洋美術館ホームページ)
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