1883年以来、パリから数十キロ程セーヌ河を下った小村ジヴェルニーで制作していたモネは、1893年、新たに屋敷の前の土地を購入し、やがてそこに日本風の庭園を造成する。敷地内を流れる小川を利用して、睡蓮を浮かべた大きな池が掘られ、太鼓橋が架けられ、岸辺には柳や灌木が植えられた。外界とは隔絶されたこの水の世界に隠遁しながら、モネは、「睡蓮」の連作に没頭していく。
彼は、最後には池のみにその関心を集中した。この作品も画面は完全に上から下まで水面だけで覆われ、そのため見る者は、あたかも池の中に立っているかのような強い感動を受ける。
(出典 国立西洋美術館ホームページ)
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