ウィリアム=アドルフ・ブーグローは美術アカデミーの重鎮として19世紀後半のフランスの美術界に君臨した画家です。古典の伝統と高度な技術に支えられた神話画や宗教画の大作によってサロンで成功を収めました。念入りに仕上げられた滑らかな肌を持つ甘美で官能的な女性像はとくに知られています。
一方、画廊と契約を結び、絵画市場向けの小品も制作しています。
小さな手を胸もとであわせて祈りのポーズをとる幼い少女の半身像を描いた本作品は、こうした商業的な人物画のひとつと考えられます。母子の情愛や愛らしい少女などを描いたブーグローの人物画や風俗画は、当時、英米のコレクターのあいだで広い人気を博しました。
(出典 国立西洋美術館ホームページ)
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