高台のテラスで食卓を囲んで談笑する優雅な物腰の二人の婦人。のどかな夏の日の情景を扱ったこの作品は、晩年のローランの作風をよく伝えている。並列された細かなタッチによって画面を埋めていく手法は、言うまでもなく、画家の親しい友であったスーラが創始した新印象派の理論に基づいている。ローランは終生この技法に忠実であった。とはいえ、夭逝したスーラが、作画上の明確な意図をもって、純粋な色の並置による厳格な点描を行なったのに対して、ローランは市民生活の穏やかで親しげな雰囲気を表わすために、繊細なニュアンスを持つこの技法を用いたのであった。
(出典 国立西洋美術館ホームページ)
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