テームズ河畔のサヴォイ・ホテルのバルコニーに画架を据えて、モネは、国会議事堂、ウォータールー橋、チャーリング・クロス橋という三つのモティーフに焦点を合わせて描き続けた。この作品もそのような連作のうちの一点である。斜めに俯瞰構図で描かれたウォータールー橋は、僅かに赤味を帯びた色彩で描かれ、橋の上の通行人や馬車がロンドン特有の霧を背景に浮かびあがる。三次元的な空間再現を断念せしめるような対象を前に、他の作品同様、彼の関心は、朦朧とした霧の中で拡散し水面を微かに照らし出す光に向けられている。
(出典 国立西洋美術館ホームページ)
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